全ての書籍 大阪大学法史学研究叢書/歴史・地理/政治・法律/社会科学 歴史のなかの山論と集議社会
紙 版
岐阜県・奥山入会訴訟に関する史料を手掛かりに、明治初期の裁判の実態と集議社会の精神および村落自治の実像を明らかにする。
出版年月 | 2025年07月31日 |
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ISBN | 978-4-87259-840-7 C3032 |
判型・頁数 | A5判・420ページ |
定価 | 本体5,500円(税込6,050円) |
在庫 | 未刊・予約受付中(近刊) |

“権力に従順ではない”村民の姿にみる「集議の精神と構造」
岐阜県可児郡・奥山入会訴訟に関する膨大な在地史料を手掛かりに、明治初期の裁判の実態と活力ある村の自治の実像を明らかにする。個々の判決文と社会経済史を短絡させるのではなく、その中間に残された広汎な研究領域の開拓、主として裁判当事者の法意識や行動の研究に焦点を合わせた法社会史研究を試みた。村民の粘り強い戦いの跡を詳細にたどるとともに、民衆史の探究と近世・中世へと繋がる「仲間共同体としての村」の再評価を行う。
序章 課題と方法──奥山入会訴訟の研究
第Ⅰ部 奥山入会訴訟
第一章 奥山入会訴訟の発端
第二章 岐阜県聴訟課での攻防(1)
第三章 岐阜県聴訟課での攻防(2)
第四章 岐阜県聴訟課での攻防(3)
第五章 岐阜県聴訟課の裁許
第六章 控訴への動き
第Ⅱ部 控訴審
第一章 控訴審のため東京へ
第二章 東京上等裁判所での攻防(1)
第三章 東京上等裁判所での攻防(2)
第四章 訴訟と神社参詣
第五章 裁判の裏面
第六章 東京上等裁判所の判決
第七章 奥山入会訴訟のその後
第Ⅲ部 久々利惣山の近世山論史――奥山入会訴訟の淵源
第一章 久々利惣山の観念とその淵源
第二章 久々利惣山観念の変容
第三章 近世村の確立と一村入会の形成
第四章 『秘書東聞記』にみる延享元年の入会紛争
第五章 江戸時代後期の入会訴訟と村落
終章 総括と研究課題──近世村と集議社会の再評価
参考史料一覧(年代順不同)・史料
索引
石川 一三夫(イシカワ ヒサオ)
1944年 香川県生まれ
1967年大阪大学法学部卒業
1974年大阪大学大学院法学研究科博士課程修了
同 年中京大学法学部専任講師
1987年中京大学法学部教授
愛知県史編纂専門委員、可児市史編纂部会長などを経て、現在中京大学名誉教授. 法学博士.
専攻:法制史、法社会史
著書
『近代日本の名望家と自治――名誉職制度の法社会史的研究――』(木鐸社、1987 年)
『日本的自治の探求――名望家自治論の系譜――』(名古屋大学出版会、1995 年)
『地方分権改革』(共著、法律文化社、2000 年)
『福澤諭吉の法思想――視座・実践・影響――』(共著、慶應義塾大学出版会、2002 年)
『裁判と自治の法社会史』(共編著、晃洋書房、2020 年)
『地方自治史研究の課題と方法――地域公共圏像の相克――』(晃洋書房、2024 年)