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クビライと南の海域世界

向正樹

紙 版

陸と海に跨る「モンゴル=システム」の実像はいかなるものだったのか。「人々のネットワーク」の観点から実証的に描き出す。

出版年月2024年02月28日
ISBN978-4-87259-791-2 C3022
判型・頁数 A5判・536ページ
定価本体6,200円(税込6,820円)
在庫在庫あり
内容紹介
目 次
著者略歴

モンゴル帝国が覇権を築いた13、14世紀、ユーラシアを覆う巨大な交易ネットワークが出現した。陸と海に跨る「モンゴル=システム」の実像はいかなるものだったのか。大元政権と海域世界との結びつきの形成過程と、大元政権が海域世界にもたらした変化に着目し、モンゴル帝国とムスリム交易ディアスポラが織りなす「人々のネットワーク」の観点から実証的に描き出す。

序章
1 主題
2 分析用語
3 本書の構成

第Ⅰ部 モンゴル゠システムまでの道のり

第1章 北宋の天地祭祀と海商ディアスポラ
序論
1 中国における天地祭祀
2 ユーラシア東方
3 南方海域世界
4 泰山封禅
5 汾陰后土
結論 文化権力についての考察

第2章 海商ディアスポラの変貌
序論
1 アラブ゠ペルシア系海商による朝貢関係の再構築
2 大食舶主蒲希密らの入貢とその経営形態
3 宋代朝貢システムの虚構と実態
4 朝貢にかかわる経営
5 境界地域における外来商人の勢力伸張
結論 ムスリム商人は駆逐されたのか?

第3章 海の覇権交替とディアスポラ
序論
1 蒲寿庚の招撫使と提挙泉州市舶の実質
2 1276 年前後の情勢と蒲寿庚の役割
結論

第4章 モンゴル軍団長と海商ディアスポラ
序論
1 初期南海諸国招諭の実行集団
2 中央指導体制下のソガト=蒲寿庚人脈
3 至元19 年(1282)の海外諸蛮出征とチャンパー遠征
4 楊庭璧のインド洋遠征
5 ソガト・蒲寿庚のその後
結論

第5章 モンゴル軍団長と南海貿易
序論
1 マングタイの入閩と海上貿易関与
2 マングタイ「海上勢力」の軌跡
3 元初期の福建と交差するコネクション
結論

第Ⅱ部 モンゴル゠システムの内と外

第6章 モンゴル゠システムと南方海域世界
序論
1 元と南方海域諸国の各種往来とモンゴル的特徴
2 南方海域諸国による使節派遣とその背景
3 歴代カアンの対外政策およびその思想
4 記録と外国使節
結論

第7章 マクロ寄生としての南海貿易収奪機構
序論
1 元の市舶司体制—貿易業務と塩政業務の合併—
2 市舶司政策の変遷:至元14‒22 年(1277‒1285)
3 市舶司体制の完成
4 その後と海域世界からのレスポンス
結論

第8章 境界地域とディアスポラ
序論
1 モンゴルと色目人ディアスポラ
2 福建地方志からみたムスリム官人の任官状況
3 元の徴税機構とムスリム官人
4 福建におけるムスリム官人
結論

第9章 港市とディアスポラ
序論
1 泉州へのムスリム移住の初期段階とその規模
2 泉州清浄寺の修築について
3 中国福建へのペルシア系移民の歴史的背景
4 硬い宗教—アラビア語碑文と漢語碑文より—
5 軟らかい宗教—泉州「重建清源純陽洞記」とその背景—
結論

第10 章 システムの終焉とディアスポラ
序論
1 泉州の平和1350 年前後—「重立清浄寺碑」より—
2 泉州の動乱1357~1368 年—『至正近記』より—
結論

終章
1 サブストレートの変遷
2 ディアスポラと広域国家
3 モンゴル゠シーパワー
4 世界システム論の脱構築
5 現在への示唆

あとがき
初出一覧
文献目録
索引

向正樹(ムカイマサキ)

1974 年生
2007 年 大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了
現  在 同志社大学グローバル地域文化学部准教授,博士(文学)
著  書 『烏臺筆補の研究』(共著,汲古書院,2007 年)
     『グローバルヒストリーと「帝国」』(共著,大阪大学出版会,2013 年)
     『グローバル化の世界史』(共著,ミネルヴァ書房,2019 年)

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