共進化する現代中国研究

紙　版

~過去と現在のコミュニケーションから未来へのダイナミックス~ 現代中国地域研究が資する学際性を 歴史学と諸学との対話の方法として接合する新たな試み 「共進化」とは,相互に進化することによって自分たちの環境が動的に変化し続け,その結果単独進化に比してよりすぐれた行動を導くことができるという意味を含む. それぞれのディシプリンをもつ歴史家など14名の研究者が継続的な対話を行い,その成果を本書にまとめる.グローバル大国・中国を,政治・経済・貿易や安全保障の面から論じる第一部と,モンゴルや台湾との関係で論じる第二部,日本との関係で論じる第三部から成る.

序章
第１部　グローバル大国・中国を透視する
1.　社会の近代的変遷―交通システムと近代山東における経済貿易中心の転移
2.　1946年民国政治―憲法制定権力の正当性流出
3.　躍進する経済―グローバル化時代における中国経済空間の変容と東アジア分業体系
4.　軍事的台頭―中国軍の現状と日米同盟への見方
5.　人間の安全保障―中国の環境問題をどう捉えるべきか

第2部　周辺を見つめる
6.　1920年代の内モンゴル―郭道甫（メルセ）とその時代
7.　1950年代の台湾―戦後台琉関係の再構築
8.　エスニシティの協会と可塑性―中国における「民族」論の今日的展開
9.　華僑・華人とローカルナレッジ―漢族の民俗知識と人間の安全保障

第3部　日本の立ち位置を凝視する
10.　戦争と社会―日本傀儡政権・中国共産党根拠地の記念日と時間
11.　中国革命と日本―ポスト革命時代の歴史叙述
12.　文化の越境と相互浸透―欧米および日本のロックに見るチャイナ・インパクト
13.　社会協助と交流―配偶者との死別後の悲嘆ケアシステムを中国に構築する
14.　国際関係と地域秩序―東アジア地域秩序の変容

終章　21世紀東アジアにおける人間の安全保障構築に向けて

田中仁（タナカ　ヒトシ）

大阪大学法学研究科　教授

三好恵真子（ミヨシ　エマコ）

大阪大学人間科学研究科　准教授