プルースト 受容と創造
和田章男 著
紙 版電子版
プルーストは過去や同時代の文学・芸術をどのように受容し、創造へと転換したのか。一次資料から批評言説を相対的に検証する。
出版年月 | 2020年08月31日 |
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ISBN | 978-4-87259-717-2 C3097 |
判型・頁数 | A5判・400ページ |
定価 | 本体6,000円(税込6,600円) |
在庫 | 在庫あり |
文学・絵画・音楽を吸収し、文学に昇華させた軌跡――。
文芸評論『サント=ブーヴに反論する』から発展した『失われた時を求めて』には、ドレフュス事件や第一次世界大戦、レンブラントやフェルメール、ショパン、ワーグナー、べートーベンなど、多くの実在する固有名が登場し、文学・芸術の百科全書の観を呈している。フィクションの姿をした文学・芸術論として独創性を確立するに至るまで、プルーストは過去や同時代の文学・芸術をどのように受容し、創造へと転換したのか。草稿、書簡、新聞や雑誌記事を含めた膨大な一次資料からプルーストの批評言説を相対的に検証し、改めて歴史の中に位置づける。
はじめに
序章 草稿の中の作家・芸術家たち
第一部 文学篇
第一章 ネルヴァル観の形成―批評と論争
第二章 フローベールの文体をめぐる論争
第三章 ボードレールとノルマンディーの海岸
第四章 『サント=ブーヴに反論する』におけるもう一人の詩人、ルコント・ド・リール
第五章 「ゴンクール未刊日記」のパスティッシュ
第二部 絵画篇
第一章 オランダ絵画―レンブラントからフェルメールへ
第二章 カミーユ・コローの風景画―コンブレーの「二つの方角」の源泉
第三章 モネの睡蓮画―ヴィヴォンヌ川の睡蓮の場面をめぐって
第三部 音楽篇
第一章 変貌するショパン
第二章 ワーグナー派と反ワーグナー派―ワーグナー批評史の中のプルースト
第三章 新世紀のヒーロー、ベートーヴェン
第四章 叡智と宿命のドラマ―ドビュッシー『ペアレスとメリザンド』
補章 写真と記憶―コンブレーの生成過程におけるイリエ
結び
あとがき
付表 草稿における作家・画家・作曲家の言及頻度
註
参考文献
索引
和田章男(ワダアキオ)
大阪大学名誉教授。1954 年京都市生まれ。大阪外国語大学卒、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。パリ・ソルボンヌ大学第三課程文学博士。大阪大学文学部助手、言語文化部講師・助教授を経て、1993 年大阪大学文学部助教授就任、2004 年同文学研究科教授、2020 年3 月定年退職。研究課題として、プルースト研究、生成研究、ジャンルを超えた受容・比較研究。主要業績として、La création romanesque de Proust : la genèse de « Combray »
(Champion, 2012),『フランス表象文化史―美のモニュメント』(大阪大学出版会、2010)、『フランス文学小事典』(共編、朝日出版社、増補版2020)など。
書評・紹介 2021年2月4日
『プルースト 受容と創造』(著:和田章男)
「図書新聞」2月13日号に書評が掲載されました。「本書を紐解くことによって、読者は『失われた時を求めて』をもう一度読み直すことになる」(評者:増尾弘美先生=筑波大学)