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書芸術の地平

その歴史と解釈

萱のり子

紙 版

「書く」行為から書の美しさを分析した書道家の芸術論。心の動き、手の運びなどワープロ世代が失っていく価値を見直すための一冊。

出版年月2000年02月
ISBN978-4-87259-067-8 C3071
判型・頁数 B5判・316ページ
定価本体8,000円(税込8,800円)
在庫品切れ・重版未定
内容紹介
目 次
著者略歴

「書」は,書き直しのない1回の所作によって線が引かれ,そこに形象ができる.近代的芸術として今日に生きている書を「書く」という行為から見るとき,新たな美が現れるのではないか.
書道家でもある著者の目は,伝統的作品の中に古代人が筆をもつ時の心の動きを読み,かなの生まれる様子を跡づけていく.
こうした視点から,日本は中国の文字や書をどのように受け入れ,どのように変容させたのか,そして書くという行為からますます離れていく現代人にとって,書の課題とは何かを提示している.

第1部 中国の書 
第1章 造形理念/万象のはたらきを見極める・造形の多様。書画一致・一画の哲理
第2章 「自然」の実現/心と手・書と内的自然・書と外的自然・
第3章 書の抽象性/筆法あるいは様式の観点から・「自然」主題性の観点から
第4章 筆意を読む/臨書と搴書
第2部  日本の書―仮名―
第1章 仮名の美の端緒/中国文化の尊重と日本語表記・万葉仮名の草体化・草仮名から平仮名へ・標準時代と造形的価値
第2章 和歌と女手の結ぼれ/問いの所在と精神史的前提・「つく」(託す)という価値・和歌と女手の結ぼれ
第3章 作品世界の形成/和歌のリズムと筆のリズム・書表現の要素・仮名の筆法
第4章 書表現の自律/書き分け・作品宇宙・美的価値の先導・文字という単位の解体・余白の発見とその制度化
第3部 線と形象の営み
第1章 書における線の意味/線という観点・中国的特質と日本的特質
第2章 書と近代/近代化の現象とその特質・書の美と自律化・書の大衆化・「形態」から行為へ
第3章 作品の在りか/署の観照における認識のあり方・二次元的理解の見直し・表象性にとってかわられた「人」の問題
第4章 線・形象・時間/書における時間の相・線の時間・形象の時間・絵画における形象の時間論・書に固有の時間
結  書くことからの問い 書くことへの問い
*索引 原色・単色図版つき

萱のり子(カヤ ノリコ)

1962年 奈良市に生まれる
1986年 奈良教育大学教育学部特設書道科卒
1988年 奈良教育大学大学院教育学研究科修士課程(美術教育)修了
1994年 大阪大学大学院文学研究科博士課程(芸術学)単位取得退学
1997年 博士(文学)学位取得 大阪大学 
現在  大阪教育大学助教授