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全ての書籍 シリーズ・叢書大阪大学総合学術博物館叢書生物学・環境 漢方今昔物語

大阪大学総合学術博物館叢書 11

漢方今昔物語

生薬国産化のキーテクノロジー

高橋 京子小山 鐵夫 編著

紙 版

生薬国産化の問題点と解決への検討を、江戸時代の生薬国産化政策や、牧野富太郎が進めた植物学などと連携し、多数の図版で解説する。

出版年月2015年03月31日
ISBN978-4-87259-521-5 C1347
判型・頁数 A4判・96ページ
定価本体2,000円(税込2,200円)
在庫在庫あり
内容紹介
目 次
著者略歴

日本で需要が増えている生薬は、国内生産量が著しく減少し、中国を中心とした海外からの輸入に頼っている現状がある。また、生薬は自生する植物の採集にほとんどを頼っており、環境破壊や国際情勢の影響も受けやすく、国産化は急務でありながら、実現が難しい。その問題点と、解決への検討を、江戸時代の生薬国産化政策や、牧野富太郎が進めた植物学、現代の農学、博物学の役割を連携し、多数の図版でビジュアルに解説する。

刊行によせて
はじめに

Ⅰ.漢方産業を知る
 生薬・薬用植物とは
 漢方医学・漢方薬とは
 医薬品としての生薬
   生薬の基原/医薬品原料生薬の品質評価/医薬品と品質保証/漢方エキス製剤のできるまで
 国内の医薬品市場規模と国内シェア
   医療現場における漢方薬の使用実態/全国消費者のニーズ
 漢方の国際標準化競争
 輸入生薬の現状・原材料調達の不安
   輸入生薬の現状/国産生薬の現状
 機能性素材としての薬用植物・作物
   農業生産者のニーズ

Ⅱ.温故知新:江戸享保期の薬草政策と森野旧薬園
 江戸享保改革期の薬種国産化政策
   本草学の発展~実践的本草学者の登用/幕府採薬師による薬草見分/植村佐平次採薬行/大和採薬経路図
 薬草諸政策の展開~江戸後期における薬種流通システム
 大和・大宇陀「森野旧薬園」の生薬資源
   森野家系譜と薬園のあゆみ/森野藤助賽郭真写「松山本草」/漢薬種育成と生薬栽培の伝統
 森野家文書を翻刻する意義
 森野家が支えた薬草園の役割と環境社会学的意義
   外国産植物の導入・栽培化~トウスケボウフウ・藤助防風/貴重種・珍種の蒐集/国産生薬のルーツ

Ⅲ.本草学の新展開:博物館/植物園の機能
 日本の植物学研究~本草学から植物分類学へ
 植物学者・牧野富太郎が果たした役割
   牧野式植物図の重要性/森野旧薬園と牧野富太郎の交流
 植物園の機能
   植物のすべてを語る腊葉標本/植物の同定・分類・学名とは
 高知県立牧野植物園の研究活動
   植物探査・分類研究/ラボにおける有用遺伝子のスクリーニング
 大阪大学総合学術博物館~継承される生薬標本の意義
   生薬標本類~実地臨床の証拠標本/生薬の国際標準化と薬物文化/日本薬局方~生薬品質の担保

Ⅳ.資源植物学:植物の恵みを資源に変えて
 植物産業と資源植物学
   資源植物学のカテゴリー
 アンデスは食用カンナの起源
 野生植物や栽培作物の消失
   野生植物の喪失/栽培作物の消失/単一作物化の危険性
 資源ナショナリズム
   生物多様性ホットスポット
 東アジア・北米隔離分布と生薬起源種の多様化研究

Ⅴ.22世紀の薬草政策につなぐ今:生薬国産化のキーテクノロジー
 植物多様性が支える漢方薬の未来~学術シンポジウム「医・薬・理・農学の共創的連携:22世紀の薬草政策につなぐ今」より
 農学からの提案~品種育成から産業化まで
   農業・食品産業技術総合研究機構/紫サツマイモの新品種育成と商品展開
 生薬自給率向上を実現するには~薬用植物生産の課題
   薬用作物を活用した6次産業課の可能性/薬食同源~ハトムギとヨクイニン/ウェアラブルカメラの活用による知の映像化~篤農技術の継承/大和生薬を守れ~栽培指導者の育成/生薬・優良種苗の育成
 漢薬起源植物の予備役を求めて
   ミャンマー産チョウセンニンジン類縁種の評価研究
 マテリアルサイエンス~メタロミクスによる芍薬の品質評価
 薬食同源による医療指導・未病への示唆
 医薬品としての生薬・薬用植物~薬学的視点からの共創的連携

参考文献
おわりに
執筆者紹介

高橋 京子(タカハシ キョウコ)

高橋 京子
大阪大学総合学術博物館(兼)薬学研究科 准教授

小山 鐵夫(コヤマ テツオ)

小山 鐵夫
高知県立牧野植物園 顧問