阪大リーブル7
医学がヒーローであった頃
ポリオとの闘いにみるアメリカと日本
在庫あり
小野 啓郎 著
四六判 224ページ 並製
定価1700円+税
ISBN978-4-87259-240-5 C1347
奥付の初版発行年月:2008年06月
内容紹介
日本では過去2回、ウイルスという見えない敵に
襲われた経験がある.1度目は大正時代のスペイ
ン風邪,2度目は戦後の小児麻痺(ポリオ禍)で
ある.ポリオを撃退したアメリカ,ポリオに完敗
した日本,両国の差はどこから生まれたか.本書
は,ポリオ禍と闘うアメリカの科学者と市民の懸
命の努力の歴史を紹介し,一方で日本医学の取り
組みの遅れとその原因を指摘し,克服の方向を示
唆する.
目次
1 ポリオに苦しんだ人類
〇忘れられた昭和の悲劇
〇ハイネ・メディン病から疫病ポリオへ
〇脊髄性小児マヒ=ポリオという病気
〇治療法はあるのか
〇日本におけるポリオ始末記
2 ワクチン開発までの苦闘の歴史
〇ワクチン開発は思い込みと挫折の連続
〇ヒーローたち
〇ワクチン開発レースの脱落者
〇マーチ・オブ・タイムズ=十セント募金活動
〇ついに明かされたポリオ・ウィルスの秘密
〇ノーベル賞に輝いたエンダースとその弟子たち
〇大規模な野外試験(治療)とポリオ・パイオニア
〇忘れられた超人的努力
〇生ワクチン
〇共産圏におけるセービン・生ワクチンの野外試験
3 ヒーローがなぜアメリカに誕生したのか
〇ワクチンがはじめて制圧した世界的な疫病
〇二〇世紀はじめのアメリカ
〇科学的医学エピソード
〇新大陸で花開いた科学的医学
〇ロックフェラー医学研究所と研究病院
〇大学医学センターと臨床科学の興隆
〇医学と医学教育における革新主義
〇医学を変えた近代病院の医療
〇教育病院における研究検査室
4 日本におけるポリオ制圧の問題点
〇敗戦後の疫病流行と防疫対策
〇ポリオ根絶を目指した男いた!
〇公衆衛生学=国民を守る予防医学
〇知らなかったのか、手をつけられなかったのか
5 日本の医学はなぜヒーローを生まなかったのか
〇「それは学問と政治の乾杯であった」
〇閉鎖社会の医師教育と医局講座制
〇遅れてきた日本の近代病院
〇医療の社会化
〇国の科学技術振興策
〇国民のイニシャティブが生んだ理化学研究所
〇ブレークスルー(風穴をあける
著者略歴
小野 啓郎(著)(オノ ケイロウ)
大阪大学名誉教授、大阪リハビリテーション専門学校校長
(上記内容は本書刊行時のものです。)
