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復興のための記憶論

野田村被災写真返却お茶会のエスノグラフィー

在庫あり
宮前良平
四六判 318ページ
定価3900円+税
ISBN978-4-87259-706-6 C3036
奥付の初版発行年月:2020年12月

内容紹介
目次
著者略歴

内容紹介

記憶とは何か、想起するとはどういうことか。津波で流された写真を返却する活動からみえた、復興への道筋――。
東日本大震災の被災写真返却のためのお茶会を続けてきた著者が、思い出、記憶、想起と復興の関係について問いなおし、想起の場と寄り添い方について考える。写真を失うことは、何を忘れたのかさえも想起されなくなる「第二の喪失」につながり、写真を介することで「語りえないこと」のコミュニケーションが可能になる。「将来への教訓」としての記憶でなく、一人一人の何気ない記憶を想起することが復興に繋がるという確信のもと、想起を目指すのではなく、ともに「すごす」活動を重ねていくことの意義を再確認する。 

目次

はじめに―記憶は存在する
第一部 復興のための記憶論

1 東日本大震災後の記憶論
東日本大震災と死者
〈かつてあったもの〉と〈アーカイブ〉的復興
〈かつてあったもの〉を伝承する
本書の構成

2  記憶論再考
記憶論の穴―写真における〈かつてあったもの〉
ロラン・バルトの写真論―物語以前の存在について
記憶の回顧主義から視座としての記憶論へ―「登場人物」としての記憶
記憶の固定主義から他者としての記憶論へ―死者としての記憶
記憶の言語中心主義から身体の記憶論へ―身構えとしての記憶
方法―語られないものを聞く

3 〈不在〉の写真
インタビュー1 荒浜のバス停の写真と石巻のメイン通りの写真
インタビュー2 いまはなき志津川駅の「跡地」の写真
〈不在〉の写真を見る/撮る
コラム 写真を洗う指

第二部 〈かつてあったもの〉の復興

4 第二の喪失―視座としての記憶論
写真をめぐる想起と想起の失敗
「第二の喪失」
第二の喪失からの恢復
コラム くろじいとの約束、そして物語について

5  死者とともに語る―他者としての記憶論
復興過程で取り残された者
犠牲のシステム
「死者について語ること」に潜む権力構造
エスノグラフィー― 痕跡の消えた被災地から
東日本大震災後の幽霊譚
死者とともに語る
コラム 「被災者の言葉を奪った」とはどういうことか―小説『美しい顔』をめぐる論争から

6 「語りえないこと」の恢復―身体の記憶論
スナップ写真の「語りえなさ」
復興の現場における「語りえないもの」
語りにならなかった事例
「秘密」というコミュニケーション

7  めざすとすごす―写真を返す活動の二つの目標
支援の終わりという問題
支援者の想い
「めざす」と「すごす」の構造的相違
想起と復興

8 想起するという復興
記憶と存在
約束と〈再会〉
想起から〈再演〉へ―復興のアクションリサーチに向けて

あとがき
初出一覧
参考文献
索 引 

著者略歴

宮前良平(ミヤマエリョウヘイ)
1991 年生。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラム修了。博士(人間科学)。現在は、大阪大学大学院人間科学研究科助教、神戸学院大学・関西大学非常勤講師。専門は、災害心理学・グループ・ダイナミックス。主な研究テーマは、災害と記憶・被災写真に関する研究。主な論文に「被災写真返却活動における第2の喪失についての実践研究」(『実験社会心理学研究』2017 年)、「被災写真による「語りえないこと」の恢復」(『実験社会心理学研究』2018 年)。

(上記内容は本書刊行時のものです。)

受賞・書評情報


2021年4月14日
『復興のための記憶論-野田村被災写真返却お茶会のエスノグラフィー』(宮前良平・著)

書評
岩手日報(4月11日付)「郷土の本棚」欄にて本書をご紹介いただきました。「野田村モデルともいうべき研究成果が、今後の被災地活動に新たな視点を加えることを期待したい」

2021年3月11日
『復興のための記憶論-野田村被災写真返却お茶会のエスノグラフィー』(著:宮前良平)

書評
「図書新聞」3月20日号に書評が掲載されました。「10年。それが一区切りだとしても、少なくとも目的地ではない。日々は続く。」(評者:木村周平先生=筑波大学)

2021年3月3日
『復興のための記憶論-野田村被災写真返却お茶会のエスノグラフィー』(宮前良平・著)

書評
「復興への道筋を描いた一冊」
「『共に過ごす』ことの意義を再確認する」
2月27日付の岩手日報で本書が紹介されました。